5月15日、東京競馬場での古馬牝馬によるマイルのG1戦ヴィクトリアマイル。昨年のJC馬から、昨年の覇者や2冠馬を含めた牝馬クラシック馬たち、それにここしばらくの上り馬たちが揃って出走し、印象ではかなりのハイレヴェルの勝負となることが、初めから予想された。
だからこそだろう。レースを凝視めようとした私の心も、限りなく正解に近づきながら、同時に限りなく正解から遠ざかって、週末の時間の流れの中で揺れ動いたのだった。
現実となって展開した光景は、私自身の推理予測した光景とは別世界のものとなったのである。
負け惜しみで言うのではないが、大局観は決して間違ってはいなかった。しかし、おそらく細部の見落としの甘さが、私の日曜午後3時40数分の瞬間の、近未来への予測予言を実現させなかったのだろう。そう、私は熟女の底力を疑い、ならばとピチピチの艶肌のの若い女体を選んでしまったのである。
≪金曜の朝≫
前夜に録画したGC の「今週の調教」で最終追い切りの様子を確かめながら、出馬表を見たとき、
「ほぼ一線級のメンバーが揃って出てきたな」と、最初に思った。同時に、
「これなら激戦になるだろうが、そんなときにモノをいうのは出走馬の格に他ならない。結局は実績馬上位の勝負となるはずだ」
「となれば、逃げるか好位で競馬をするスマートレイアーがレースの前半を支配して、それを目がけて、直線ではショウナンパンドラ、ミッキークイン、ストレートガール、ルージュバックが殺到してくる。必ずそんなレースになるだろう。直前に競馬マスコミで穴人気になる馬たちがいるが、そんな上り馬がもしいるなら、それは化け物級の馬であり、たぶん今回はいない」
≪金曜の深夜≫
「スマートレイアーが前を行くのは、後続の馬たちには解っているはずだ。池添、浜中、戸崎、ルメールらがその対処法もなくやみくもの騎乗するとは考えられない。だとしたら、直線の長い府中のマイル戦で、格好の目標となるスマートレイアーは良くて3・4着ではないか」
「勝負するならミッキークイーンとショウナンパンドラの1点。そこから抑えるなら、ストレートガールとルージュバック」
「戸崎は、何故若いルージュバックではなくもはや7歳牝馬のストレートガールに騎乗するのだろう?」
「府中のマイル戦は二つの傾向がある。強いスプリンターが長い直線をものともせず走り切ってしまう場合と、本質は中距離場なのだが長い直線を利してマイルのスピード競馬を克服してしまう場合だ。勿論それを成し遂げる馬はSクラスの強い馬だけなのだが・・。前者の例は、例えばロードカナロア。今回ならストレートガールか。ただ去年の覇者であっても去年はミナレットが3着を確保できるレースだったのも事実だし・・また香港遠征後に一度は引退を決めていたのも何となく本命視するには嫌だった・・・。後者の例は、今回ならJC馬ショウナンパンドラに牝馬2冠馬ミッキークイーン。今の勢いならショウナンパンドラもミッキークイーンも大丈夫だろう。まだちょっと理解できないでいるのが、ルージュバックとなるのだが・・・」
≪土曜の夕刻≫
「今日の京王杯で浜中駿はダッシングブレイズで4着。こういう形で落馬負傷から復帰した以上、明日は以前の攻撃的な浜中駿を期待してもいいのではないか」
「で、私の軸馬は、ショウナンパンドラなのかミッキークイーンなのか?1点ならこの組み合わせだが、ストレートガールとルージュバックを抑えるならどちらか決めなければ・・・」
≪日曜の午後≫
午前中は競馬のことは努めて考えないように過ごして、机の前に座ったのは1時を過ぎた頃だった。改めて出馬表を眺めたが、2頭のどちらを軸にするかは、まだ決めかねていた。迷うことなく馬連5点でいいと考えるのは、私の場合は、過去の経験を照らし合わせると誤りなのは判っていた。そのときは良いかも知れないが、長いスパンで考えると、それを3点に絞る作業をすることが私には重要で、結局は競馬を長く楽しむ結果となって来たからだ。それで多くの悔しさを覚えたこともあるが、それなりの獲物を射抜いたこともある。絞る作業というのは、頭も使うが、それより多くの体力が必要だ。粘って考え抜く体力。粘らずに、こんなものさとか、まあいいじゃないかと一度でも己に許してしまうと、それは転落の始まりとなって行くのだろう。それこそは、本当はどんなジャンルにも共通する真実であるに違いないと、そう思っているのだが・・・。
≪日曜午後2時20分≫
気分転換にと思い、何となく閃いた第9R芝2000mのテレ玉杯を、今日の運試しにと馬連2点を少しだけ買ってみた。河内洋厩舎のゴールドテイラーから国枝厩舎のカレンリスペクト、高柳厩舎のデルフィーノへの2点だった。調教師国枝栄の強気なコメントに惹かれ、デルフィーノは本命馬だった。これがゴールドテイラーとカレンリスペクトで決まり、何と運良く今日のメインレースの軍資金となってくれた。ツキがあるのかなと安心したが、デルフィーノで惨敗したのは戸崎圭太だったので、その印象が逆に災いしてしまったのかも知れなかった。
≪午後3時過ぎ≫
パドックから返し馬を見て、決断する時を迎えた。前走より明らかに仕上げてきた-10Kgの引き締まった馬体を見て、この瞬間に、私の今日の軸馬は池添謙一ショウナンパンドラに決めた。JCのみならずマイルでも決め打つ差し脚を持ったオールマイティの牝馬誕生のドラマに結局は大きな期待を抱いたのだとしか言えない。相手は、大本線に浜中駿ミッキーアイル、少々の抑えに戸崎圭太ストレートガールとC.ルメールのルージュバック。
私が見たいと願った競馬シーンは、ゴール前でスマートレイアーを交わして粘り込みを図ろうとするストレートガールに、先ずはルージュバックがインから並びかけようとし、次の瞬間に馬群を抜け出してミッキークイン、次にショウナンパンドラが大外から襲いかかって勝負を決するものだったのだが・・・。
≪レース≫
定刻にスタートしたレースは、前半に先行したい各馬の動きがあって、3F33秒8、の5F57秒2のハイペースとなった。武豊スマートレイアーは2・3番手に先行したが、自分のペースを守ってという訳にはいかなかった。
このとき、中団10番手辺りの馬場3分処のポジションにストレートガール、その直後にミッキーアイル、その外にショウナンパンドラが互いにマークし合うような位置取りだと言えた。
第4コーナーを先頭で廻ったのは、折り合いを失くして前に進んだ福永祐一カフェブリリアント。直後にいたスマートレイアーが多少外によれたこともあって、カフェブリリアントとスマートレイアーの間に、まるで奇跡のようなヴィクトリーロードが生まれた。
その恩恵を最も受けたのは、ストレートガールだった。勿論、戸崎圭太もこの目の前に労せずして広がったヴィクトリーロードの瞬間を見逃すことはなかった。騎手の闘争本能が条件反射するように手綱を詰めて追い出し始めた。
それからの7歳熟女ストレートガールの衰えを見せなかった走りは特筆ものだろう。後に続いたミッキークインにも、大外を伸びてきたショウナンパンドラにも、その影すら踏ませなかったのである。
これこそが、海外でも好走した老練な熟女の鍛え上げた華麗なテクニックだったのだろう。
ミッキーアイルが2着。ショウナンパンドラは3着。先行馬にストレスがかかったレースだったがスマートレイアーは4着を確保して、ルージュバックは5着だった。
いやはや、1着から3着馬までを馬連で買っていて、最後に決断した軸馬がミッキークインではなくショウナンパンドラだったために、私の的中はならなかったが、上位馬の個性がはっきりと見られたレースとなり、満足度はかなり高かった(それにしても運試しの9Rに感謝であるのだが・・)。
負け惜しみではなく、ミッキークイーンもショウナンパンドラも、これからの古馬中距離戦線での活躍が大いに期待できる結果だった。
最高のレースは、最高の出走メンバーこそが作り出すものだと、そう思って納得して、この日の競馬を終えた。
これからオークス、ダービー、安田記念とG1は続く。たとえその日敗れる結果となったとしても、さらに明日の成果を夢見て行くしかない。冷静に、したたかに、同時に集中と利欲に走らずにだ。
それに徹するならば、♪そのうち何とかなーるだろう・・・という私のドラマの結末を迎えることもあるに違いない。
人というのは、いつか真摯に願ったことを実現させる想像力を持っていると信じたいのだ・・・。
それにしても7歳の熟女に乾杯であり、完敗だった週末だった・・・・
だからこそだろう。レースを凝視めようとした私の心も、限りなく正解に近づきながら、同時に限りなく正解から遠ざかって、週末の時間の流れの中で揺れ動いたのだった。
現実となって展開した光景は、私自身の推理予測した光景とは別世界のものとなったのである。
負け惜しみで言うのではないが、大局観は決して間違ってはいなかった。しかし、おそらく細部の見落としの甘さが、私の日曜午後3時40数分の瞬間の、近未来への予測予言を実現させなかったのだろう。そう、私は熟女の底力を疑い、ならばとピチピチの艶肌のの若い女体を選んでしまったのである。
≪金曜の朝≫
前夜に録画したGC の「今週の調教」で最終追い切りの様子を確かめながら、出馬表を見たとき、
「ほぼ一線級のメンバーが揃って出てきたな」と、最初に思った。同時に、
「これなら激戦になるだろうが、そんなときにモノをいうのは出走馬の格に他ならない。結局は実績馬上位の勝負となるはずだ」
「となれば、逃げるか好位で競馬をするスマートレイアーがレースの前半を支配して、それを目がけて、直線ではショウナンパンドラ、ミッキークイン、ストレートガール、ルージュバックが殺到してくる。必ずそんなレースになるだろう。直前に競馬マスコミで穴人気になる馬たちがいるが、そんな上り馬がもしいるなら、それは化け物級の馬であり、たぶん今回はいない」
≪金曜の深夜≫
「スマートレイアーが前を行くのは、後続の馬たちには解っているはずだ。池添、浜中、戸崎、ルメールらがその対処法もなくやみくもの騎乗するとは考えられない。だとしたら、直線の長い府中のマイル戦で、格好の目標となるスマートレイアーは良くて3・4着ではないか」
「勝負するならミッキークイーンとショウナンパンドラの1点。そこから抑えるなら、ストレートガールとルージュバック」
「戸崎は、何故若いルージュバックではなくもはや7歳牝馬のストレートガールに騎乗するのだろう?」
「府中のマイル戦は二つの傾向がある。強いスプリンターが長い直線をものともせず走り切ってしまう場合と、本質は中距離場なのだが長い直線を利してマイルのスピード競馬を克服してしまう場合だ。勿論それを成し遂げる馬はSクラスの強い馬だけなのだが・・。前者の例は、例えばロードカナロア。今回ならストレートガールか。ただ去年の覇者であっても去年はミナレットが3着を確保できるレースだったのも事実だし・・また香港遠征後に一度は引退を決めていたのも何となく本命視するには嫌だった・・・。後者の例は、今回ならJC馬ショウナンパンドラに牝馬2冠馬ミッキークイーン。今の勢いならショウナンパンドラもミッキークイーンも大丈夫だろう。まだちょっと理解できないでいるのが、ルージュバックとなるのだが・・・」
≪土曜の夕刻≫
「今日の京王杯で浜中駿はダッシングブレイズで4着。こういう形で落馬負傷から復帰した以上、明日は以前の攻撃的な浜中駿を期待してもいいのではないか」
「で、私の軸馬は、ショウナンパンドラなのかミッキークイーンなのか?1点ならこの組み合わせだが、ストレートガールとルージュバックを抑えるならどちらか決めなければ・・・」
≪日曜の午後≫
午前中は競馬のことは努めて考えないように過ごして、机の前に座ったのは1時を過ぎた頃だった。改めて出馬表を眺めたが、2頭のどちらを軸にするかは、まだ決めかねていた。迷うことなく馬連5点でいいと考えるのは、私の場合は、過去の経験を照らし合わせると誤りなのは判っていた。そのときは良いかも知れないが、長いスパンで考えると、それを3点に絞る作業をすることが私には重要で、結局は競馬を長く楽しむ結果となって来たからだ。それで多くの悔しさを覚えたこともあるが、それなりの獲物を射抜いたこともある。絞る作業というのは、頭も使うが、それより多くの体力が必要だ。粘って考え抜く体力。粘らずに、こんなものさとか、まあいいじゃないかと一度でも己に許してしまうと、それは転落の始まりとなって行くのだろう。それこそは、本当はどんなジャンルにも共通する真実であるに違いないと、そう思っているのだが・・・。
≪日曜午後2時20分≫
気分転換にと思い、何となく閃いた第9R芝2000mのテレ玉杯を、今日の運試しにと馬連2点を少しだけ買ってみた。河内洋厩舎のゴールドテイラーから国枝厩舎のカレンリスペクト、高柳厩舎のデルフィーノへの2点だった。調教師国枝栄の強気なコメントに惹かれ、デルフィーノは本命馬だった。これがゴールドテイラーとカレンリスペクトで決まり、何と運良く今日のメインレースの軍資金となってくれた。ツキがあるのかなと安心したが、デルフィーノで惨敗したのは戸崎圭太だったので、その印象が逆に災いしてしまったのかも知れなかった。
≪午後3時過ぎ≫
パドックから返し馬を見て、決断する時を迎えた。前走より明らかに仕上げてきた-10Kgの引き締まった馬体を見て、この瞬間に、私の今日の軸馬は池添謙一ショウナンパンドラに決めた。JCのみならずマイルでも決め打つ差し脚を持ったオールマイティの牝馬誕生のドラマに結局は大きな期待を抱いたのだとしか言えない。相手は、大本線に浜中駿ミッキーアイル、少々の抑えに戸崎圭太ストレートガールとC.ルメールのルージュバック。
私が見たいと願った競馬シーンは、ゴール前でスマートレイアーを交わして粘り込みを図ろうとするストレートガールに、先ずはルージュバックがインから並びかけようとし、次の瞬間に馬群を抜け出してミッキークイン、次にショウナンパンドラが大外から襲いかかって勝負を決するものだったのだが・・・。
≪レース≫
定刻にスタートしたレースは、前半に先行したい各馬の動きがあって、3F33秒8、の5F57秒2のハイペースとなった。武豊スマートレイアーは2・3番手に先行したが、自分のペースを守ってという訳にはいかなかった。
このとき、中団10番手辺りの馬場3分処のポジションにストレートガール、その直後にミッキーアイル、その外にショウナンパンドラが互いにマークし合うような位置取りだと言えた。
第4コーナーを先頭で廻ったのは、折り合いを失くして前に進んだ福永祐一カフェブリリアント。直後にいたスマートレイアーが多少外によれたこともあって、カフェブリリアントとスマートレイアーの間に、まるで奇跡のようなヴィクトリーロードが生まれた。
その恩恵を最も受けたのは、ストレートガールだった。勿論、戸崎圭太もこの目の前に労せずして広がったヴィクトリーロードの瞬間を見逃すことはなかった。騎手の闘争本能が条件反射するように手綱を詰めて追い出し始めた。
それからの7歳熟女ストレートガールの衰えを見せなかった走りは特筆ものだろう。後に続いたミッキークインにも、大外を伸びてきたショウナンパンドラにも、その影すら踏ませなかったのである。
これこそが、海外でも好走した老練な熟女の鍛え上げた華麗なテクニックだったのだろう。
ミッキーアイルが2着。ショウナンパンドラは3着。先行馬にストレスがかかったレースだったがスマートレイアーは4着を確保して、ルージュバックは5着だった。
いやはや、1着から3着馬までを馬連で買っていて、最後に決断した軸馬がミッキークインではなくショウナンパンドラだったために、私の的中はならなかったが、上位馬の個性がはっきりと見られたレースとなり、満足度はかなり高かった(それにしても運試しの9Rに感謝であるのだが・・)。
負け惜しみではなく、ミッキークイーンもショウナンパンドラも、これからの古馬中距離戦線での活躍が大いに期待できる結果だった。
最高のレースは、最高の出走メンバーこそが作り出すものだと、そう思って納得して、この日の競馬を終えた。
これからオークス、ダービー、安田記念とG1は続く。たとえその日敗れる結果となったとしても、さらに明日の成果を夢見て行くしかない。冷静に、したたかに、同時に集中と利欲に走らずにだ。
それに徹するならば、♪そのうち何とかなーるだろう・・・という私のドラマの結末を迎えることもあるに違いない。
人というのは、いつか真摯に願ったことを実現させる想像力を持っていると信じたいのだ・・・。
それにしても7歳の熟女に乾杯であり、完敗だった週末だった・・・・
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