その後2年間は、幸いにもかぶれることはなかったのですが、忘れた頃にまた私は、漆かぶれに見舞われてしまったのです。このときは、少しひどい事態になって苦しみました。 物事は、いつのときも甘く考えてはいけないのです・・・。 <2013 11月 了> ちょっと困った事態が起こりました。まあ、自業自得なんですが・・。 金曜の午後、少し時間を見つけて、生漆を使ったある実験をしてみたのです。前夜、天啓のような閃きがあったので、これはやるしかないなと思い、以前に買ってあった生漆を持ち出しました。土曜は早朝から深夜まで、一日中出かけなければならず、このタイミングしかなかったのです。 これまで、私は漆を触ってかぶれたことはありませんでした。家族に症状が現れても、私には何も起こらず、運良くかぶれない体質が備わっているんだと信じていましたから、素手で生漆を触って大丈夫と妙な自信さえ持っていたのです。 でも過信でしかありませんでした。 漆を扱っている間に、無意識のうちに、顔を掻いたり、さすったりしてしまったのでしょう。作業を終えたときには、念のため、手先をオリーブオイルで洗い(漆は油分で溶けますので)、しっかり石鹸で手を洗ったんですが・・。 変化は土曜の午後に起こりました。外出先で何となく顔の異変を感じたのです。 両頬から鼻の下にかけて、変なツッパリ感が生まれ、モゾモゾとした感覚から始まりました。瞼にも腫れぼったさがあります。指先で触ってみると、月面の荒野のようなゴワゴワとした肌になって、少し赤味を帯びて火照っています。でもそのときはまだ、何かおかしいな、どうしたんだろうとしか思いませんでした。なにせかぶれないという自信があったのですから。 ただ火照りと、フラッとするような立ち眩みが起こっていました。それでも今日は疲れていて体調が悪いとしか思えません。 帰宅した深夜にシャワーに入り、顔を洗いながら触ってみると、やはり月面荒野のような状態でした。寝酒にウィスキーをショットグラスで3・4杯あおると、何とか眠りについたのです。 目覚めた日曜の早朝から、遂に痒みが始まりました。あれっ?と思い、念のため副腎皮質ホルモン入りの軟膏を取り出して患部に塗ってみると、その瞬間から我慢できない激しい痒みとなりました。それでも早く治さなければと、