3年前の有馬記念。あのオルフェーブルのラストレースだった。
結果的に「配合の妙」から誕生した世界に通用したサラブレッドは、圧勝の強さを私たちに見せつけて、故郷に帰って行ったのである。
鮮烈さをいつも漂わせていた。それが私たちの眼線をひきつけて止まなかった・・・。
(phot by k.Ishiyama)
<2013 12月 了>
誰にもつべこべ言わせねえ。
オイラの力を信じられる奴だけに、そんなお前さんたちだけに、オイラはサンタになって最後のご奉公ってのをお見せしようじゃねえか。
まあ、見ていて御覧よ。ぶっちぎってやっからよ。
エッ?最終追い切りの手応えが怪しかったって?いいかい、お前さん。オイラ達のような世界のトップはよぉ、追い切り程度じゃ本気を出さねえんだい。追い切りで動けば、勲章になるのかい?賞金貰えるのかい?そこいらの若僧じゃあるまいし、ちょっと甘いんじゃないの、世界チャンプに向かって、そんなこと言うのは。
オイラ、本番じゃぁ、きちんと世界の脚ってのを御披露いたしますってんだい。
それによぉ、オイラここ一番の世界NO.1決定戦じゃぁ、ここだけの話、トレブちゃんとか、ジェンティルドンナちゃんとか、名前忘れたけどあのペリエが乗ったおばさんとか、女馬にしか負けちゃあいねえんだ。
オイラ、悪童だけどよう、根は優しいから女馬だとどうも本気になれなくてな。今回は、見渡したところ女馬はいねえし、そうなりゃオイラの独壇場よ。
これが世界の力だってえのを、黙って楽しんだらいいんだよ。判ったかい、お前さんたちよぉ・・・。
そのオルフェーヴルの言葉通りだった。
第3コーナーから一まくり。第4コーナーから先頭に躍り出て、あとは、あれよあれよの一人旅。
8馬身という大差の決着。ついて行く人馬の影もなく、世界の頂点とはこういう次元の力だったと、場内を埋め尽くした11万6千の大観衆は圧倒的に納得させられた。
生半可な理論理屈は、頂点に立つ本物のサラブレッドの破壊力の前では、惨めなほど無力だと8馬身差のパフォーマンスで言い残して、オルフェーヴルは次代の競走馬の父となるために北へと旅立って行った。
そして競馬の2013年は終わったのである・・・。
大震災に見舞われたまさにこの時代に突如出現したオルフェーヴルとは、私たちにとっていったい何であったのか?
その答えが判明するには、もうしばらく時間がかかるだろう。すぐに解答を得られないほどの名馬だったとしか、今この瞬間の私には言えない・・・。
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