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2017 春・天皇賞~京都・芝3200m 強烈なる3分12秒5!!


3分14秒4。1997年春、田原成貴マヤノトップガンが、横山典弘サクラローレル、武豊マーベラスサンデーとの3強の闘いの中で計時したレコードタイムである。この記録は、当時しばらくの間は破られない驚異的なタイムと信じられていた。最後の直線で爆発させたマヤノトップガンのいっきの差し脚は不敵の凄味に溢れていた。

3分13秒4。2006年春、「空駆ける馬」と称えられた武豊ディープインパクトが上り33秒5の余裕の力を見せつけて、新しいレコードタイムを更新した。このとき3馬身半差の2着に健闘した横山典弘リンカーンも3着馬に5馬身の差をつけて従来の記録を上回ったが、如何せん闘った相手が悪過ぎたというしかなかった。

3分12秒5。2017年春、武豊キタサンブラックが2番手で先行して計時したレコードタイムである。上り4F47秒7、3F 35秒5という流れを確かめると、最後に弾けたというよりも、松山弘平ヤマカツライデンの前半5F58秒3という玉砕的なハイペースを、ハロン12秒(100mを6秒)平均で不屈に粘り抜いて刻んだレコードタイムだった。敢えて言うならば、およそ30年前の岡部幸雄シンボリルドルフのような強さを見せつけたということだろう。闘った相手のレヴェルを考えるなら、この崩れない粘りもまた驚異的だった。

キタサンブラックは、ブラックタイドの産駒である。
ブラックタイドは、ディープインパクトの全兄であり、04年のスプリングSを勝ち(この時点で5戦3勝)、おそらく皐月賞(16着惨敗)で脚部不安に見舞われなければ、その後2年の屈腱炎による休養もなく、1流馬としてのキャリアを積み重ねたはずの馬だった。2年後に復帰を果たしたが、その後は未勝利で競走馬としてのイメージは、「愚兄賢弟」の証明としか思われなかったのだった。

しかし面白いことがある。ディープインパクトの産駒では、昨秋の菊花賞でサトノダイヤモンドが勝ち抜いたが、春・天皇賞を含めて3000mを超える距離での活躍馬はいない。2400m、2500mまでの華麗な産駒成績が嘘のようである。

それに比して、ブラックタイドの産駒キタサンブラックは、ただ1頭だけで菊花賞を勝ち、春天皇賞もレコードで2連覇を達成した。その母の父サクラバクシンオーが競馬を知る者にはどうしてもマイル以下の短距離馬というイメージが重なるだけに、キタサンブラックの果てしなく粘り抜くステイヤーとしての特性が、さてどこから生まれて来たのかということは、血の摩訶不思議な結果としか言えない。

それにしても、キタサンブラックは強かった・・・。サトノダイヤモンドの3着は、やはり外枠15番と距離適性だろう。同世代同士の菊花賞とは違い、春・天皇賞はより適性のある古馬たちとの闘いだったから、そうとしか思えない。

えっ?私の成績?ハッハッハ・・・。

いえね、皐月賞の悔しい敗北の後、マイラーズCで、ルメール・イスラボニータと武豊エアスピネルの馬連1点勝負で一息ついていましたが、またそれを吐き出す結果となりました。情けないことです。
マイラーズCでは、直線で外から横綱相撲をせずに馬群を突き抜けさせたらイスラボニータはまだまだ捨てがたい馬だと判っていましたし、ペースが流れたらエアスピネルの力は紛れることはなく発揮してくるし、ブラックスピネルのペース攪乱戦法は連続では実現しないと判断していたことも幸いしました。久し振りに騎乗が戻った松岡正海(ここのところ騎乗に芯が入ってきていますし)のヤングマンパワーが気になりましたが3着でホッとしました。

でも春・天皇賞は、菊花賞のセイウンスカイや、かのリンカーンを好走させた横山典弘の、何かやってくれるのではないかという手腕に期待して、初騎乗となるゴールドアクターに再度期待してみましたが、イラついていたのかゲートで立ち遅れて、レースの流れにも乗れずに、この時点(スタートの瞬間です)で、敗戦の覚悟を持ちましたよ・・・。
ゴールドアクターも切れて弾ける馬ではないので、この出遅れが横山典弘の作戦なんだとは思えませんでしたし・・・。

競馬という勝負は、資金が潤沢なら、有無を言わせず狙い澄ましたここ一発勝負です。
それほどでもない資金なら、ホップ・ステップ・ジャンプの3段跳びに挑まなければいけないんですが、この3段跳びが難しいのです。ホップ・ステップまでは普段の学習を怠らなければ通過できるんですが、最後の決めとなるジャンプで決め損なうことが多いんです。こんな現実は十分理解しているんですが、そこに山があるから登りたくなるように、週末に競馬のビッグレースがあるからつい何とか仕留めてみたくなるわけで・・・。

ともあれ、2017年春・天皇賞もまた凄いレースだったと脱帽しています。
でもね、この私には、玉砕的逃亡をしたヤマカツライデンを除けば、結果的に2番手とそれを4番手からマークに徹していた馬のほぼ「行った、行った」となる単調な組み合わせは、丁々発止の騎手の手腕に期待するだけに、とても応援しづらい結果だったと負け惜しみを記しておきます。だって天皇賞の後、香港遠征のネオリアリズムで魅せたモレイラの騎乗に痺れましたから、ハイ。


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