5月20日土曜。午前中に金魚の水替えをして、ひと汗かいたところで関西風の薄口醤油味のきつね蕎麦を作って楽しみ、2時過ぎからは京都の重賞平安Sを見た。
いろんなことをしながらも、さて明日のオークスは?という命題を頭の中で巡らせていたから、平安Sで体力を消耗するのは避けようと、直感で閃いた枠連2-5-8の3点ボックスでいいかと決めて、GCのTV画面を眺めていたら、5枠川田グレイトパールと2枠武豊クリソライトで決まり、枠連でも15倍の配当でひと安心。4歳牡馬グレイトパールはダート界の新星とも言える走りを見せてくれた。
さて、この間私は何度もオークスの出馬表を見続けていたのである。
ここ数戦のG1戦を見ていると、はっきりとした主張を持つ逃げ馬がいるかいないかで、レースの様相は極端に変わっていた。相応の力を持つ逃げ馬がいればレースは流れるが、逃げ馬不在の場合にはスローペースから残り4Fのヨーイドンのレースになっている。
では、このオークスでどの馬が逃げて流れを作るのか?と考えると、どう考えても判らないのだ。好位を守りたい馬は多くいるが、明確な逃げ馬がいない。
ここ一発の攪乱戦法を狙って先頭に立つ馬が現れるだろうが、しかしペースは上がらないはずだ。結局、先行馬群がひと固まりになって4コーナーを廻り、そこからは早めの直線勝負になるだろう。折り合って、ヨーイドンと瞬発力を発揮する馬が勝ち負けの勝負をするはずだ。たぶん中団より後ろのポジションの馬たちには、勝ち抜くチャンスはない。
このように考えると、折り合いに心配がなく、鋭い末脚を発揮するルメール・ソウルスターリングが、明日東京の良馬場で桜花賞のような敗戦(3着)を再び演ずるとは思えなかった。
桜花賞は明らかに馬場の悪いコンディションだった。おそらくここでソウルスターリングに勝ち負けを挑んだ馬たちは、何らかの疲労残りもあるだろう。ベストの状態が桜花賞だったとすれば、その体調のベクトルは下さがりになっていても不思議はない。
同時に、桜花賞を目標にして、ここまでマイル戦以下の距離を使ってきた馬も推理から除外してもいいだろう。3歳牝馬の東京の2400mという距離の克服は、その場しのぎではできない壁があるはずだ。
となれば、今年の2着候補は、桜花賞組ではない別路線から、はっきりとした距離適性のある末脚発揮の魅力を持つ馬を選べはいいはずだ。そんな馬なら、ソウルスターリングに追いすがれる可能性が高い・・・。
土曜日に、そう結論付けた私は、それからは迷わなかった。
ゲートが開いて、逃げたのが戸崎圭太フローレスマジック。2番手に四位洋文ミスパンテール。通用するかしないかは別にして、このポジション取りは騎手の意志に裏付けられた1発勝負だったろう。
結局、前半5Fは61秒7のスローペースとなった。
3コーナーを廻って残り4Fの攻防が始まる。11秒6、11秒3、11秒2、11秒6。有無をも言わさない究極のヨーイドンの勝負が繰り広げられた。
それからのことは、敢えて私が記すこともないだろう。好位から抜け出したソウルスターリングの独壇場だった。辛うじて追いすがったのは、和田竜二モズカッチャン。さらに2馬身半後ろで3着にようやく届いたのは、後方から追い上げたデムーロ・アドマイヤミヤビ
だった。
桜花賞の好走組は振るわず、戸崎や四位の一発勝負も花開かず、昨年のチェッキーノと同様にフローラSの勝ち馬モズカッチャンが2着を確保して、2017オークスは幕を閉じた。
ルメールは、ソウルスターリングの母スタセリタでフランスオークスを勝ち、その仔ソウルスターリングで極東日本のオークスをも手中に収めた。走破タイムは2分24秒1。この時計は、かの名牝ジェンティルドンナの2分23秒6に次ぐオークス歴代2位の記録だった。
とにもかくにも、ここ数戦のG1戦で、推理の感性を狂わせがちだった私自身は、何とか推理の感覚を取り戻せたような気分で、ほんの少しだけ安心できたような気がする。
強い馬が強さを誇って勝ち抜く競馬に美しさを見出そうとするのは、おそらく私だけではないだろう。
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