最近、トイレにこもる時間が長くなっている。
いや、とりわけ体調に異変があった訳ではない。
その昔に購入して今でも手元に残していた漫画の単行本を、一人静かにトイレ時間に読み返しているのだ。思わず熱中して読み耽ってしまいがちになる。良いものは、何度読み返しても、こちら側の心の事情を映し出していつも新しい発見があるからだ。何度読み返しても面白いものは面白い。
私が自ら選んで手元に残した単行本は、手塚治虫「火の鳥」、矢島正雄・原作、弘兼憲史・画「人間交差点」、白土三平「カムイ伝」、畑中純「まんだら屋の良太」。結構な量で、はまって読み返し始めると長時間コースとなる。
今から30年40年前の作品だが、漫画はあまり現代作品を読むことは今はほとんどないので、私は、荒野で時間に取り残されて立ち尽くしたままのような、いわば純粋培養された読者なのかも知れない。(そうすると「釣りバカ日誌」などはその頃から今も続いているのだからすごいものだ)
今回も楽しんでいる。
それにしても、手塚治虫の近未来への想像力は時代を超えて優れて卓越したものがあるし、矢島・弘兼の生きる人間のほとばしる様な情念は憧れるほど凄まじいし、人は行きつく処まで行くと教えてくれる白土三平の世界観もうんちく深いし、畑中純のおおらかな万葉的情景も理解できる。
残したのは、全て映像的なストリー構成の作品で、それが私の好みということになるだろう。
今回読み終えて、また数年後その気になって読み返したときに、またもう一つの新たな発見があるかどうか、もはやそんなことまで期待している日々を、トイレの中で過ごしている。
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