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変な10月~毎日王冠~秋華賞~菊花賞 その②

10月6日。身体に芯が入らないような状態で迎えた京都大賞典(芝2400m)と毎日王冠(芝1800m)。

京都大賞典は、三浦エアウィンザーから春天皇賞2着馬デムーロ・グローリーヴェイズ、そして上がり馬浜中シルヴァンシャーに狙いを定めたが、エアウィンザーとグローリーヴェイズ共に差し脚は不発で、結果はごく単調な前残りの競馬に終わり、私には見どころの少ないレースとなってしまった。いや、これも競馬だ。唯一の救いは穴馬シルヴァンシャーが最後に後方から末脚を発揮して3着に押し上げてきたことだけだった。

毎日王冠は、私には津村アエロリット、戸崎ダノンキングリー、福永インディチャンプの3頭立てのレースにしか思えず、アエロ~ダノン~インディとダノン~アエロ~インディの3連単を2点に馬単アエロ=ダノンの裏表を購入してみたが、3連単10倍、馬単4.2倍の配当で、京都大賞典のマイナスを埋めることに成功しただけだった。でもそれでいい。ふらつく身体とボーっとした頭ではそれが精一杯だった。
しかしオッズはともかくゴール前残り1Fからの3頭の攻防は見応えがあった。一度はインディチャンプに抜かれたアエロリットがインから差し返し、そこに斤量有利だったが出遅れたダノンキングリーが強襲してきたのだ。いいレースだった。

その夜、疲れ切った身体で早めに寝ついたが、ひと眠りしてトイレに起きたときが仏凱旋門賞の発走時間だった。GCのライブ中継を見てみたが、名牝エネイブルは凱旋門賞3連覇は果たせずヴァルトガイストの2着。秘かに期待していたキセキも7着。フィエールマンとブラストワンピースは惨敗だった。凱旋門賞のゴールは、日本馬にとっては依然として遥かに遠いものだと思わざるを得なかった。

週が明けて、再度の血液検査とその結果を確かめに病院に行ったが、気になっていた白血球の数値は、何と1万を少し超える程度に下がっていた。となると、この脱力感と左の背中の痛みは何なのだろう?何が原因なのだろう?特に左の背中の痛みは、先週末は背筋辺りが中心だったのだが、今は肩甲骨の下側辺りに痛みが移っている。もう原因不明の身体異常感からは本当に解放されたいものだ・・・。どうだった?と家人から聞かれるので、これから新たにシーズン6が始まる「Doctor-X」を真似して、膵臓癌ステージⅡと言ってみたが、急に態度がよそよそしく優しくなったので、いや多分そうじゃないと思うんだけど・・私、失敗しないので・・と付け加えておいた。

史上最強とメディアから騒がれた台風19号が次第に本州に近づいてきた。
金曜の朝、自宅の庭先に2頭の鹿が現れ、猿も集団で木々を揺らしていた。雨が近づくと猿たちは本能的に餌を求めて移動するようだ。金曜の昼過ぎから雨脚は次第に強まっていった。深夜からは屋根に響く雨音が窓を閉め切っていても大きく響いてきた。

家の前にごく小さな沢がある。普段はチョロチョロとほんのささやかに山の水が流れているのだが、土曜の朝には、それが地響きを立てるような濁流の鉄砲水に代わっていた。この小さな沢でこんな状態なら、そこかしこの沢からこんな水が集まったらあるいは下流の河川は持たないだろう。ふとそんな思いに駆られた。標高550mの山暮らしでは、水は斜面から流れ落ちては行くが、山の水が地面の下に溜まり切って地崩れの崩壊が始まったなら、もはやどうすることもできはしない。そうならないことをただ祈るしかない。対自然の構図の中では、人の力など知れたものなのだ。

この日、東京競馬は中止になり、京都競馬は開催されたが、この大雨の中で競馬を見る気にはならなかった。私の暮らす場所では、台風19号の風は木々を揺らす程度で大したことはなく、ひたすら雨が降り続いた。
明日は3歳牝馬クラシック秋華賞。でも雨はまだ降り続いているし、相変わらずの脱力感と左の背中の痛みに悩まされている。

                      (この項さらに③に続く)

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久し振りに~駒を一枚

ここしばらく雨も雪も降らず、乾燥した暖冬の日々が続いていた。 暇な時間も持て余すぐらいあったので、じゃあ久し振りにやってみるかと、駒を一枚作ってみた。下手なのは承知の助だが、こんなことをやっていると、それなりに一心不乱の集中力が必要不可欠で、自己鍛錬にはいいのだ。 手元には中国産の黒蝋色漆しか持っていないので、乾きが早く、厚めに塗った部分がどうしてもシワシワになりがちなので、ちょっとだけ工夫をしてみた。以前に読んだ司馬遼太郎の文庫「軍師二人」の中の「割って、城を」の文章を想い出し、実践してみたのだ。 「割って、城を」は豊臣家から次に将軍秀忠の茶道の師範となった大名古田織部正のお話で、敢えて茶碗を割って塗師(ぬし)に修復させ漆と金粉の景色を施すことによって天下の名器に変える狂気の美学を持っていた。 その塗師を説明する文章の中で、「麦漆」に触れられていた。漆に、小麦粉を混ぜてよく練り、糊とする。他にも「サビ漆」や磨き材としての百日紅の炭や木賊(とくさ)の話も載っていた。何となく、そうか「麦漆」かと思って、自己流でやってみた次第。 よく練って2・3日経った「麦漆」は、盛上げ部分の乾きがゆっくりとなって、今の乾燥低温の気候なら、そのまま放置しておいてもシワひとつよらずに徐々に固く締まっていった。400年前の先人の知恵に、これは使えるなとおおいに感心した。 今回の文字はほぼ我流だった。これで字母通りに40枚作れたならいいのだが、元来不器用な私にはそこまでの根気はないから、まあどうしようもない。 時間潰しの駒一枚がようやく出来上がって一安心したとき、どうしたわけか原稿依頼のメールが届いた。短い原稿枚数だったが、それはそれだ。やはり私には、駒作りよりも原稿書きの方が性に合っている。 そうか・・・。たった一枚の駒作りで鍛錬した集中力は、原稿書きのための事前訓練だったのかも知れない。おそらくそうなんだろう。 この一度きりの人生、私自身の眼の前に起こることは、あるいは全てが有機的に繋がっているのだから。

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