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憶測

もう2月6日の臨時総会の結論を待って、棋士たちの良心を見守るしかないないと思い、この話題には触れないと決めていたのだが、たまたま羽生夫人の一途な意志が書き込まれたツィートが為されたことを知って、思わず読んでしまった。

私が改めて関心を持ったのは、10月10日の某理事邸で行われた謀議、11日の三浦九段への査問(聞き取り)、12日の休場届不提出を理由としての挑戦資格者のタイトル戦出場停止処分に至る強引なまでの事態進行プロセスだった。

何故、関わる多くの関係者に様々な調整が必要な事項が、これほど迅速に進行し、三浦九段以外の登場人物が、それぞれの役割を見事に演じ切ることができたのか?それが、誠実な訴えでもあった夫人のツィートから得た率直な感想だった。

まるでTVの安手の2時間ドラマのような粗いストーリー構成から浮かび上がるのは、すでにそれ以前の時点で、挑戦者交代を推し進めた何人かの登場人物たちと、タイトル戦のスポンサーサイドとの間で、何らかの結論が企図されていたのだと考えると、全てが符合する形で納得できることに思い当たった。

この事前の談合があればこそ、何人かの主要な登場人物たちは、その目的に向かって、明確にそれぞれの役割を演じ切ったのではないだろうか?悪質だったのは、その本当の目的や結論を知らされることがなかった人物は、たとえかつて最高位にあった実力者であったとしても、その実績を利用される駒でしかなかったのだろう。

あくまでも憶測でしかないが、2時間ドラマ風に考えると、目的を達したなら、或いはある者は、「次期会長職が待ってるよ」とか、将棋ソフトの効用を知る、感情を高ぶらせていたある者は「これからも棋界最高位の地位は君のものだ。我々は応援するよ」とか、耳元で囁かれていたのかも知れない。賞金額最高位であったとしても、将棋界の根幹を成す順位戦制度を乗り越えられないスポンサーサイドの忸怩たる思いも反映されたのかも知れない。

もしそうなら、みな必死に役割を全うしただろうし、事ここに至っても真相が明らかにされない理由も理解できるというものだ。第3者委員会の調査によって「疑惑はなかった」と断定された三浦九段は、このとき、ヒーロー役を任された人物たちの感情の高揚によって、やはりスケープゴードにされたのだろう。哀しい2時間ドラマの結末だった・・・。

今、この騒動を知る多くのファンの間では、悪を懲らしめようとする義侠心が渦巻いている。こんなことは許されるはずはないという素朴な怒りがうねっている。当分は収まりそうもない気配だ。

それもそうだろう。最初は正義の月光仮面として現れた告発者たちが、いや実は、その正体は月光仮面の仮面をかぶったおぞましい三文役者たちだったのだから。

こんな憶測など、本当は誰しもしたくない。でもさせられている現状は、何としても2月6日には、多くの棋士魂や棋士の良心によって払拭して欲しい。せめてそれぐらいの希望を棋士たちの側から無数の怒れるファンに与えて欲しい・・・。

(ファーストトレーディング社版)

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