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11月, 2016の投稿を表示しています

2016 JC~東京芝2400m ないもの強請り

11月27日JC。 少し遅れて12時半近くになって「優駿」招待ルームに到着。 部屋に着く前に、ちょっと一服と喫煙所の扉を開けると、何と春以来の再会となる大内9段が座っていた。 とはいえ、私にとっては、名人戦速報や囲碁将棋チャンネルで、タイトル戦の立会人の様子や囲碁の棋力向上委員会に登場した姿を見ていたのでご無沙汰していたとは思えなかった。 しばらくこの場所でおしゃべりタイム。駒のこと、孫弟子のことなどいろんな話題が出て、私は自らが体験したり見聞きしたことを、心おきなく話題にした。「人間の本質なんて判らないものですね」などと。 最近関心事となっている将棋界のよもやまのことについては、大内9段はこう教えてくれた。「仲間が仲間を売るような関係式になっていますよね。こんなことは良くはないんです。同じ将棋の道を歩む者同士は、互いに競争者であり仲間でもあるんですから。弟子から明日の棋士会に出席して下さいと誘われていますから、明日は行こうと思ってますよ」 昼の松花堂弁当を食べながら、私は今日のJCを思い描いていた。 「今日ここに来たのは、ホームストレッチでの底力を問われる攻防を見たいがためだ。1枠1番を利しておそらくキタサンブラックが逃げる。今日のメンバーならある程度弛まないペースとなって、直線はゴールドアクター、リアルスティール、最強の2勝馬サウンズオブアースらが波状攻撃を仕掛けてくるに違いない。耐えきったらキタサンブラックは名馬の尊称を改めて不動のものにするし、あるいは差し馬たちの連続攻撃の前に負けるとしたら今日なのかも知れない。でもそんな厳しいレースが見たいものだ」と。 しかし、そんな大きく期待したドラマは、実は何も生まれなかったのである。 スタートしてやはり先頭に立つ武豊キタサンブラック。そのペースは前半5F61秒7。2番手に田辺ワンアンドオンリーが楽に追走できるぐらいだから、1着賞金3億円のJCとは思えない流れとなってしまった。 逃げ馬を有利とするか不利とするかは、競馬においては2番手の馬の動き次第だ。ピタッと逃げ馬をマークして圧力をかけたなら、逃げ馬自身が自分のペースを失って不利となる。しかしワンアンドオンリーが2番手の競馬では、キタサンブラックは7分か8分の力で自在に逃げられた。武豊のゴーグルの奥でほくそ笑む顔すらが、もはや第1コーナーで浮かんだ。 案の定、

降着と失格のジャッジ  2016 マイルCS~京都外回り1600m

直線最後の1F(200m)地点まで、2016マイルCSは、ハラハラ・ドキドキと観る者の胸を躍らせる緊迫感に満ちていた。 ここしばらく6F戦で好成績を遂げていた浜中俊ミッキーアイルが逃げ、それをマークするように夏の札幌記念を勝ち抜いたR.ムーア・ネオリアリズムが続き、外からC.ルメール・イスラボニータが伸びようとしていた。サトノアラジン、ディサイファ、ダノンシャークも好位でせめぎ合っていた。 最後に底力を示してマイル王の覇権を手に入れるのはどの馬なのか、レースの興奮は頂点に達しようとしていたのである。 だが・・・。 浜中俊の右ムチ連打の励ましを受けたミッキーアイルが、ゴール直前に大きく左斜行。ネオリアリズム。サトノアラジン、ディサイファ、ダノンシャークらが進路妨害を受け、まるでドミノ倒しのようにひしめき合ってしまう不利を受けてしまったのだ。それでも浜中俊は右ムチを連打し続けていた。 ゴール直前、この日最大の勝負処でのの混乱だったので、それはレースの結果に直結する事態となった。 すぐに審議ランプが点灯し、場内には審議の告知が流れた。 降着か、失格か、あるいは表面上何ごともなかった様なセーフの決着か、それは裁決委員の良心を賭けた裁定を問われる事態だと言えた。浜中俊がキープストレートというフェアな競馬の掟を守ろうとして、右ムチ連打を控える騎乗の修正を図った努力の跡は、はっきり言って見られなかった。勝負が決着する瞬間だっただけに、確信的に狂うように勝つことを求めようとしていた。勝負する者としての騎手が、勝利を求めて狂うように追うことを否定はしない。それは観る者の心を揺さぶって止まない貴重なことだ。しかしそれも、他馬に危害を与えないという条件付きのものである。 もしこれが勝負の決着として許されてしまうのなら、ルール改定前のことだったとはいえ、かつての春天皇賞ニシノライデンの失格や秋天皇賞のメジロマックィーンの18着降着やエリザベス女王杯のカワカミプリンセスの12着降着など、いったい何であったのかということにもなりかねない。それは裁決への不信にもつながってしまうだろう。競馬への信頼をも揺るがしてしまうに違いない。 結果は、 『最後の直線コースで、16番ミッキーアイルが外側に斜行したため15番ネオリアリズム、2番サトノアラジン、1番ディサイフ

江戸いなり

その昔、江戸に伝わった「いなり寿司」があるそうだ。 その名も「江戸いなり」。 ものの本では、油揚げを湯鍋で煮て、油分を落とし水洗い。 その後、黒糖を使った甘い砂糖醤油の鍋でじっくりと煮込んだ油揚げに、握り鮨用のシャリよりも2倍から3倍ほどに酢をきつめに利かせた鮨飯を挟み込んで作ったいなり寿司である。黒糖を使うと、揚げは黒っぽく仕上がるようだ。 甘過ぎるほどの揚げと酢が効いたシャリが、味わう口の中で見事にマッチして、深みある味のいなり寿司が出来上がる。 本気でやると、よく揚げに甘味を染み入らせるために、2日ほどかけて手を加えた方がいいらしいが、思い立ったらすぐに食べたいのも人情で、少しばかり知恵を絞ってやってみた。 とりあえず圧力釜で、半分にカットした油揚げを湯で煮たてる。シューッと吹き上げ始めて5分ほど。 蓋を開けて、次は油揚げを水洗い。 次に洗った圧力釜に醤油と黒砂糖を注ぎ込む。しかしキッチンを見渡しても今日は黒糖が見当たらなかったので、替わりにザラメと白砂糖で代用した。気分で砂糖を引き立たせるために少しばかりの塩と味の素を隠し味で追加もした。かなりの甘さにしてみたつもり。 指先に少しつけて舐めてみても甘く感じる。とすると例えば佃煮にも、かなりの糖分が使われていることを知る。 そこに洗い終えた油揚げを入れて、点火して吹き上げ始めて10分ほど待った。(結果からすると15分程がいいかも知れない) 圧力釜が冷えて中身が取り出せるようになるまで、そのままにしておく。 次は炊き上がったご飯に酢を打つ。酢、多めの塩、ほんのささやかな砂糖。酢を多めにして(大胆にだ)、湯気が上がるご飯に均等にかけて混ぜ込む。何度か失敗してみると、そのうちコツが解って来るから、これはやってみるしかない。だけどこの鮨飯は、それだけで食べるとかなりきつめの味がして、本当にこれでいいのかと一瞬不安に駆られるのだが、それでいいのだ。 後は、油揚げを軽く絞って、中にシャリを入れ込んだら完成である。 今日のところはこうなった。         たぶん黒糖を最初から使えば、もっと黒っぽい「江戸いなり」が完成するはずだが、今日はあり合わせで我慢しよう。 試しに一口。ほおばった瞬間に、ただ甘いだけのそんじょそこらにあるいなり寿

2016エリザベス女王杯~京都外回り芝2200m

日曜の夕方から、重い病で寝込んでいた。 と言っても、新型ウィルスなどによる発病ではなく、ずっと以前からある伝統的な奇病なのだが・・・。 それは、1着3着病という重病である。 この病がたちが悪いのは、限りなく輝かしい希望に近づいて、その最後の一瞬にズシンと心を傷つけるからだ。まるでほくそ笑む死神につきまとわれてしまったような暗い気分で、何も手につかなくなって打ちひしがれてしまうのだ・・・。 2016エリザベス女王杯を終えた瞬間、私の身体から力が失われて、暗鬱な沈黙に支配された。 それもそうだ。トライアル府中牝馬S。ラスト3F33秒5の差し脚で力強く弾けたM.デムーロ・クィーンズリングの完勝ぶりを見て、エリザベス女王杯は、この馬と、浜中俊ミッキークィーンの一騎打ち。おそらく天気がもって高速馬場の瞬発力勝負となる本番では、時計のかかった昨年のこのレースや宝塚記念を勝った蛯名正義マリアライトは人気でも消えると踏んで挑んだエリザベス女王杯だった。マリアライトは34秒台の脚で勝ち切れるときこそが出番となる馬だと見極めていたからだ。 1コーナーで、福永祐一シャルールの内斜行の影響をドミノ倒しのようにまともに受けて、大きく後ろに弾き飛ばされたマリアライトは、この時点で価値を失くしてしまったが、もし仮にそれがなかったとしても、おそらく勝ち切れる態勢までは作れなかったろう。 中団インから、クィーンズリングが33秒2の脚で弾けたからである。クィーンズリングは遂に完成期を迎えたのだと言い切れるのではないか。 1枠1番からの出走となったミッキークィーンは、道中も中団インを確保し、ゴール前も33秒6の脚で伸びてはきた。が、第4コーナー辺りのこの馬らしくないモタツキが、半年休養後の緒戦ということだった。それでもこれまでの実績を考えれば、このエリザベス女王杯で、私自身がミッキークィーンを外す訳にはいかなかった。ファンとはそういうものだと思うが、3着まで来るのなら、もっと上位を確保して欲しかったというのも本音である。 今回、クイーンズリングとミッキークィーンを大本線にして、あと1頭ほんの少しだけ押さえる馬を見つけ出そうとしたとき、嘘も隠しもなく選ぼうとしたのは、馬ではなく騎手だった。とすれば、残るのは世界のR.ムーアか今や日本のC.ルメールしかいない。 そ

金魚を飼おうか⑤~ランチュウの成長4か月経過

金魚を飼い始めてそろそろ4か月。 9月の長雨の頃から室内の金魚桶で飼うようになってからは順調に大きくなっている。 今は、もう12㎝ほどに育った。頭部の肉瘤も特徴的に段々と育って、ランチュウらしい雰囲気が生まれている。 最初は5匹だったが4か月の間に飼育の失敗(山の気温長変化や長雨を甘く見ていたからだった)もあり、生き残ったのは3匹。 でも生き残った個体は、強く、大きく、太くなっているので、今はもう多少は安心だ。 見るからに立派に成長している。 稚魚で黒かったオランダ獅子頭はも、ここまで成長した。 現状では、1匹が少し胴長で、もう1匹は背びれが白くなって変化している。でも展示会に出すわけでもないので、とりあえずどんな風に大きくなるかということだけが関心の的だ。 もう間もなく迎える冬の季節。さてさて無事に越冬させてやることができるかどうか、気温変化が大きい山の暮らしなので、少し心配している。

さてさて鮨でもつまもうか

先週の初めに左下奥の「親知らず」を抜いたのだが、この歯がなかなか土台がしっかりした歯だったので、いまだに歯茎に大きな穴が開いていて塞がらず、少しばかり痛みもあり、何を食べても力強く噛めないのであまりおいしくもない。 さてさて、こんなときにはどうするかと考えてみた。 ならば、バーチャルで鮨でもつまんでみようかと考えて、画像を検索して並べてみた。(悪意なくランダムに好みのおいしそうな写真を使わせていただきます。お許しあれ) さあ、老舗の鮨屋「鶴鮨」の開店準備が整いました。 「へぇ、いらっしゃい!」と、元気で景気のいい声に迎えられてカウンターに座り、とりあえず酒とつまみのお刺身で胃を和ませる。 そして握りを注文する。 私の場合は、こんな順番にだ。種類を楽しみたいので1貫づつ。 季節にもよるが、貝から入る。初夏から夏がおいしい。 akagai aoyagi torigai nihamaguri 次に ika madako saba syako そして   kohada 勿論初夏からはshinko madai 白身の鯛は塩が美味い kurumaebi 貪欲にuni・ikura まだまだいける。 aoriika geso anagoは外せない buri・harami maguro・大トロootoro maguro・赤身・akami そして締めには、 tamagoyaki wasabiを利かせたkanpyoumaki いやいや、ここまで食べたら満腹だ。お腹の中も水族館! でもバーチャルだから「鶴鮨」へのお勘定はなし。 ああ食べたいなと喉がゴクリと鳴るが、痛みの残る歯茎の大穴に舌先が当たると、我慢も聞く。 早く治して、本物の鮨屋に駆けつけたい気分。 でも、こうやって好きなものを並べてみるだけでも、それなりの満腹感が沸いて満足できるのが不思議だと発見した。 たまにはこんな遊びもやってみるものだ・・・。 (使わせていただいた写真に感謝であります)

秋天皇賞~東京芝2000m

週明けに右奥の親知らずを抜歯したのだが、これがなかなか土台がしっかりした歯だったので、歯茎にポッカリと大きく穴が開いてしまい、まだ痛みもあるのでじっとしていた。 で、今朝ようやく4日前の10月30日に戻る。 この日、朝9時半のレッドアローで東京競馬場に向かった。秋津で乗り換えて府中本町まで1時間半の道のり。いつものダービールームではなく、今日はラウンジシートでの観戦だ。でも集まるのは、「優駿」招待ルームで顔を合わせるいつものメンバーだから、余計な気を使うことはない。 最初に挨拶したのは矢野誠一御大。 「夜は、木下順二の10年忌の集いがあり、定例コースの三松での飲み会には出られないのでゴメンナサイ」と言いながら、万札を1枚出して「これで皆さんにビールでも」と、さっそくのカンパの申し出を受けた。 「いえいえ、とんでもありません。せめて天皇賞を勝ってからにして下さいよ」と答えると、 「いいんだから。実はねぇ、菊花賞を獲ったんだよ」とニヤリ。聞けば相当の収穫だったようだ。 それを聞いて、ハナ差の3着で悔しい菊花賞を終えた私は、遠慮なく頂いて、この好意を後からおいおいやって来る皆さんに伝えた。「少しは見習いましょうね、皆さん」と。 天皇賞での私の結論は決まっていた。金曜日の湿り気で、どうやら時計がパンパンの良馬場よりも1秒半ほどかかっているような気配だったが、それでもヨーロッパ遠征帰りの武豊エイシンヒカリを外そうと考えていた。G1戦とはいえ、彼の地での緩い時計での逃亡劇を消化した後では、それが鬼門となると思えてならなかったからである。 勝負処は、直線の坂の手前辺りから。逃げるエイシンヒカリを狙って、ロゴタイプ、ラブリーディ、モーリス、リアルスティール、ルージュバックらがいっきに動いて攻め上がってくるだろうポイント。その波状攻撃にエイシンヒカリは耐えられないというのが結論で、安田記念を獲らせてくれたロゴタイプも今回は苦しいだろうと見た。 だから応援するのは、モーリス、ルージュバック、リアルスティール、ラブリーデイの差し馬の組み合わせ。家を出るときには、やはりわざわざこの日に合わせて日本に来るR.ムーアの騎乗するモーリスが頼りになると決めていたのだが・・・。 昼を過ぎて、中野「廣」のママさんから、差し入れの海苔巻も届いてお腹が満たされると、何となく東京競馬場にピクニックに来て