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判官びいき


いったい、何故、どうして、妙に感情がイライラとさせられるのか?

三浦九段が竜王戦挑戦権を強制的に奪われた一連の騒動に関してである。

「第3者委員会」報告書要約抜粋が報じられて、ここ数日どうしてなんだろうと考えていた。
どうやら、「第3者委員会」報告書要約抜粋に記載された調査事実と、10月下旬に「第3者委員会」が動き出した直後から11月半ばまでに竜王本人が書いたブログ記事内容との大きく隔たった内容の落差に、納得できる説明が浮かばないからだと気づかされたのである。たぶん、どちらかに事実を都合よく創作した説明が為されているのだろう。法を知る権威者が集った「第3者委員会」の構成を考えると、説明に抜かりはないはずだ。とすれば、嘆かわしいと言わざるを得ない・・・。そのことがイライラとささくれ立つ感情を生み出すのだろう。

それにしてもだ。私自身は、不肖ながら将棋ソフトがAIとしてどのように進化してきたのか詳しくはないが、想像するに、過去の幾多の棋譜を演繹的に整理統合して進化してきたと思えば、もともとは人の営みの集大成がなければ、ソフトの進化もなかったのではないか?つまりは将棋400年の血と汗が刻まれた棋譜の結晶こそが、土台になっているのである。そこに人はもっと自信を持っていいのではないだろうか?AIは人の手があってこそ進化できるのであり、その進化の土台は人が築き上げたものなのだ。

最先端で進化した同一の将棋ソフトを同一のCPUで闘わせたなら、果たして勝負はつくのだろうか?疲労感もなく淡々と互いに永遠に負けないように指し続けるのだろうか?

人対人の勝負は、肉体的な限界、追い詰められた知力や精神の一瞬の空白が生まれ得るからこそ、ドラマがあり面白いのだ。そのためには、人間の限界に挑む人への敬意や愛情がなければならないだろう。

今回の騒動を、秘密会合から査問委員会と騒ぎ立てた某棋士たちには、おそらく根本的に人への尊厳がなかったと言わざるを得ない。共に動いた常務理事らも同罪である。敬意をもって他者を尊厳することは、翻って言えば、自分自身を尊厳することなのに、その理解が足りなかった。背後に潜んでけしかけた者たちも同様だろう。

2月6日に臨時総会が開かれ、新しい理事2名が選出され、また今回の騒動の「検証委員会」を設置するか否かも検討されると聞く。本当に開かれる運びとなったら、自浄作用は信用回復には素晴らしいことだ。そうあって欲しいと願いたい。

ただひとつ肝に銘じなければならないのは、新しく選出される理事の所謂「身体検査」は厳格に考慮されなければならないだろう。もしそこに、たとえ一人でも胡散臭く偉そうな輩が潜んでいたなら、これまでと何も変わらず、それどころか危機はさらに増すことになるからだ。その意味でも、2月6日の臨時総会は、正会員たる資格者たちに問われるものの大きさは想像以上のものだろう。本当の覚悟を、今棋士たちは問われている。
                                             

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