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秋競馬 シーズンイン‼

絵:N.Akira

ここしばらく競馬の話題を記していなかったが、決して忘れていたわけでも、手を引いていた訳でもない。自分なりの方法を守って、命を懸けてその限界まで走り抜くサラブレッドの、言わば「儚いまでに凄味のある劇(ドラマ)」を楽しんでいた。

3冠牝馬への栄誉あるポジションを圧倒的なパフォーマンスで手中にしたルメール・アーモンドアイのオークス。

オヤジの見ることができなかった馬上の景色をやっと見ることができたと語った福永祐一ワグネリアンの日本ダービー。

勝利の体勢を築いた戸崎アエロリットをゴール寸前に差し切ってしまったルメール・モズアスコットの安田記念。1分31秒3の決着タイムだった。

テイエムオペラオー以来18年振りにJRAのG1戦制覇に涙した和田竜二とミッキーロケットの宝塚記念。

夏競馬では、函館で7歳にしてようやく重賞制覇を果たしたエアアンセムの雄姿もあったし、札幌ではやはり吹き荒れたモレイラ旋風と札幌記念で示された福永サングレイザーの2000m戦での大きな可能性。それに小倉や新潟の短距離戦で大いに発揮された森田きゅう舎のダイメイプリンセスとラブカンプーの奮闘。

9月23日には、神戸新聞杯で頭部を負傷した福永祐一からの代打騎乗の藤岡康太ワグネリアンと出遅れて本領発揮とはならなかったが戸崎エポカドーロの2018ダービー馬とさつき賞馬の対決と、オールカマーでのルメール・レイデオロと北村友一アルアインの2017ダービー馬と皐月賞馬の一騎打ちもあった。

秋最初のG1戦は、9月30日中山での電撃の6F戦スプリンターズS。春高松宮記念の覇者川田将雅ファインニードルが直線で外から追い込んで春秋を制しての不動の短距離王となったが、夏競馬を盛り上げた3歳牝馬和田ラブカンプーと4歳牝馬秋山ダイメイプリンセスも2着と4着に健闘した。7歳の武豊ラインスピリットが今が盛りと発奮して3着。得意のイン突きができなかった岩田レッツゴードンキは5着だった。

先週からは東京と京都の開催が始まり、毎日王冠ではモレイラ・アエロリットが1800m1分44秒5の好タイムで危なげなく牡馬たちを蹴散らし、京都大賞典では新しくコンビを組んだ川田将雅サトノダイヤモンドが再び最強馬への復活を果たし、2着には4歳牝馬池添レッドジェノバがこの夏の上り馬として弾ける瞬発力を示して突っ込んできた。3着はモレイラ・アルバート。福永シュバルブランは5着が精いっぱいだったが、最終追い切りで少しもたついていたのでトライアル仕様の状態だったのだろう。

こうして記していても、競馬の劇(ドラマ)は次々と続いてワクワクさせてくれている。後は受け手である私たちの感性の問題が試されてくるのだ。

それにしても印象的なのは、騎手川田将雅の騎乗だろう。
この夏、長期の英国遠征を果たして、これまで以上に弾けた騎乗を重ねている。

9月に日本の競馬に復帰して、開幕週こそ競馬の流れやレースの作り方に彼らしくもない戸惑いが見受けられたが、翌週からは自らのペースをきっちりと取り戻して、より研ぎ澄まされた騎乗を続けている。騎乗馬を見渡せばわかることだが、ともすれば外国人ジョッキーに手綱が任されるようなクラスの馬たちも、川田将雅だけには着実に騎乗依頼がなされているようだ。これこそ厩舎関係者の信頼の証である。

最近は現場取材をしていないから、英国で何をどう学んで視野を広げてきたかは断言はできないが、その騎乗を見ていると、浮つくこともなく、ごく自然にひと呼吸遅らせて追い出し、直線ではデムーロ、ルメール、モレイラにさえ見劣ることなく馬の力を最大限に引き出している。おそらくひと呼吸遅らせることが自然な感覚に昇華し、同時に身体化し得たことが、騎手川田将雅の成長と言えるのではないだろうか?このまま巧みな騎手としてではなく、凄味溢れる騎手として騎手界制圧を果たして欲しいと思わせる男である。

いよいよ今週からG1戦線の開始である。
秋華賞には絶対牝馬アーモンドアイがいるが、菊花賞にはちょっと穴馬と見定めている馬もいる。(カフジバンガードだったかアフリカンゴールドだったか・・菊花賞の出馬表を見たらはっきりするのだが・・ともあれ最終便で前走の特別戦を堂々と勝ち上がって間に合った馬だ)さしあたりこの馬たちがどんなレースをしてくれるかを楽しみにしてみようと考えている・・・・。

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