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春G1後半戦~天皇賞からオークス・ダービーまで その①



昨日5月27日、11万8475人(午後3時現在)の大観衆を集めて、熱気ある大歓声の中、日本ダービーが催された。

騎手福永祐一の、父洋一が突然の落馬負傷引退のためにその手にできなかったダービー制覇達成のドラマに、集った大観衆の温かい大声援がターフを包み込んで3歳馬の頂点となる「祝祭の儀式」が終わった。来週からは、また再び2歳馬たちの新しい闘いが始まっていく・・・・。

4月29日。春天皇賞~京都・芝3200m。
昨秋の天皇賞(東京芝2000m)3着からの岩田レインボーラインの着実な成長振りからしても、勝負を賭けてくるのはこの馬だろうと、私には思えてならなかった。
予想通り2週目の最後の4コーナーを回ってからの岩田レインボーラインの、馬群の中を右斜めに縫うようにして強引大胆に突き抜けてきた迫力は、この馬の長距離における資質の高さと、騎乗する岩田康誠の馬の資質を最大限に引き出してやろうとする気迫の意志に満ち溢れていた。

しかし・・・。

ゴールインする寸前に(何度レースを見返してみても)、ガクンと体勢を崩しているのが見て取れた。レインボーラインは、自らの身体を犠牲的に捧げものにするかのように、極限の勝負に挑んでいたのだろう。命を懸けて勝負に挑んで、勝者の栄光を手中にしたが、はかなくも傷ついてしまったのである。これは競走馬にとっては宿命的に抱える現実なのだ。手をこまねいて何もしないよりも、身体を捧げて勝負に生きる。そのことがサラブレッドの孤高の姿を映し出すのである。はかなくも美しい競走馬の本質を、あまりにも見事に教えてくれるような激走だったと厳粛に認めるしかない。
岩田康誠がゴールイン後に下馬したとき、私は何故かかつてのダンスインザダークの菊花賞を想い起していた。ダンスインザダークもあの96年の菊花賞を鮮やかな瞬発力を示して勝ち切って、しかし競走生命を捧げてしまった馬だった・・・。

レインボーラインを軸にして相手に選んだのはクリンチャーだったが、騎乗者が武豊の直前の騎乗停止によって三浦皇成にチェンジしたこともあってか首+1/2差の3着で、私には玉砕の結末となったが、それはそれでしょうがないと認めざるを得なかった。いかに先行馬をゴールまで持たせるかというある種洗練された特有の技術で世界のボウマンと称される騎手が騎乗したとしても、何となく完調状態に思えなかったシュバルグラン(2着)を蹴ってしまっていたのだから致し方ない。レース結果は、完調でなくても力量差があれば何とかしのげるのも現実で、それを読み取れなかったのは私自身の想像力と分析力の欠如だったということなのだから。それにしても・・・・。うーん・・・・。


5月6日。NHKマイルカップ~東京・3歳・芝1600m。
ゴールデンウイーク最終日のこの日、私は外出の予定があってライブ観戦はできなかった。天皇賞の敗戦もあって、実は手元不如意状況で、ほんの少しだけタワーオブロンドンとケイアイノーテックの馬連1点だけ購入して出かけ、夜帰宅してレースを確かめたのだが、あまりにも見せ場がなかったタワーオブロンドンの敗退に不可解さだけが残った。強さを見せつけていた前走アーリントンCまでの戦績はいったい何であったのだろうか?判らない・・・・。ケイアイノーテックに騎乗した藤岡佑介の初G1制覇は初々しく微笑ましかったが、それにしてもタワーオブロンドン・藤沢厩舎・ルメール・・・どうしたんだろうか?・・・・・。


5月13日。ヴィクトリアマイル~東京・古馬牝馬・芝1600m。
昨年のオークスであれだけ強かったソウルスターリングがそろそろ復活の姿をみせるかもと信じようとした。相手は、内から岩田レッツゴードンキ、横山典ミスパンテール、戸崎アエロリット、武豊リスグラシュー。何故、横山典弘がずっと主戦だったアエロリットではなくミスパンテールに騎乗するのかは曖昧模糊としていたが、今回はミスパンテールの活躍の可能性のほうが高いと考えたに違いないと素直に受け入れてみた。となれば、本線は好きな馬であるレッツゴードンキとミスパンテールで押さえはアエロリットとリスグラシューになる。

しかし・・・。結果は、またまた恥の上塗りとなるものだった。うーん・・・。どうもバイオリズムが極端に下がっているようだ。

ルメール・藤沢厩舎・ソウルスターリング。この組み合わせであっても、勝ち運のないときには結果は生まれないのである。2週続けてやられてしまった。ソウルスターリングが昨秋の古馬牡馬との闘いで燃え尽きてしまったとはまだ思えないのだが・・・・。
良馬場のBコース使用で1分32秒3の決着で、勝ったのは、2003年スティルインラブで、アドマイヤグルーブとの熾烈な闘いに勝ち、牝馬3冠を決め打った幸英明が騎乗したジュールポレール。2着は武豊リスグラシューで3着は北村友一レッドアヴァンセ。私の選んだ馬たちは4着から7着までにずらりと並んでいたのが皮肉な笑い話だった。あーあ・・・。それでもゴール前では接戦だったじゃないかと居直ってみても後の祭りで、明らかになったのは、不明な私の「下手な横好き」状態だけだった。(情けないお話で、穴があったら入りたい心境です、ハイ・・・・)

いやはや、こう記していてもだんだん暗い気持ちで嫌になってきましたので、オークスとダービーは、明日か明後日にしましょうかねぇ。

で、そういうことで、乞うご期待!ではなく、次もまた嘲り笑ってくださいませ・・・。ハイ・・・・。


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