2019春のG1戦は、いろいろと書いておきたいことはあったが、何となく気分が乗らず、結局、私のノートは空白のままで、少しばかり記憶のパフォーマンスが落ちかけている脳内に残すだけに終始してしまった。
今年2月から、近隣のコンビニ全てで夕刊紙の配送がストップして、資料にする競馬新聞も日刊ゲンダイなどの夕刊紙も翌日の朝にしか買えなくなってしまったことも大きかった。配送業者の経済的な効率化の為に、売り上げ減少が続く夕刊紙や競馬新聞とそのコアな読者が犠牲となったということだ。半日も経った翌朝にしか購入できない夕刊紙など、まさに気の抜けた炭酸飲料のようで、半日遅れの鮮度のものに同一料金を取られるのは、どうにも承服しがたい感覚がある。
出馬表などは、JRAのHPで入手できるし、有料のネット新聞という手もある。でもパソコンなどの表示画面は流し読みには適しているが、情報のきちんとした取捨選択に使うには、やはり実際に手に取って深読みできる紙の方がいい。一瞬のひらめきが必要な世界には、私は紙のものが相応しいと信じている。勿論自らコピー用紙に印刷することもできるが、独特な雰囲気も高まらないし、手間をかけるのも余程のことがない限り面倒だ。
実に嘆かわしい状況だが、しかしせめても2019秋のG1戦線はきちんと記憶のノートをつけておこうと思った次第。(三日坊主に終わるかも知れないが…)
9月29日。午後1時過ぎからからGC(グリーンチャンネル)を見始めた。
朝は、誰もいない山道での愛犬の坂路調教(4,5kmを速歩やギャロップで走らせている)、メダカやランチュウのエサやり、7時前に競馬新聞と日刊ゲンダイを車でコンビニに買いに行ったりする実務があって、妙に気忙しいのだ。
9R2歳牝馬の特別戦サフラン賞(1600m)から予行練習を兼ねて競馬に参加。と言っても、ほんのちょっとの気分作り。川田ギルデッドミラーを軸に、人気でも武豊マルターズディオサと戸崎マジックキャッスルを馬連で買ったが、武豊マルターズディオサが強過ぎて1着3着の不適中。
10R。古馬2勝クラスのハンデ戦芝1200mの勝浦特別。競馬新聞の調教欄から何となく気配の良さに閃いて、3か月休養後の丸田グッドジュエリーを軸に、川田アゴベイ、酒井トンボイ、三浦シセイタイガにほんのちょっとならと馬連で流した。
ゴール前の坂から丸田グッドジュエリーがグイっと伸びて差し切り、酒井・三浦の2着争いは酒井トンボイが粘り切って2着。何と馬連でも約420倍の高配当になってしまった。ほんのちょっとが、スプリンターズSの軍資金に変わって、脳内快楽物質が溢れてきた。こうなれば欲も出る。グッドジュエリーから馬連で買った相手3頭の3連単6点を、もう少し遊び心を出して買っておけば、6点で100万馬券だったのになぁ・・・。でもそれは捕らぬ狸の皮算用。
2019春の時点から、私は多少の遊び心で馬連を買うことにしている。レースの核というか2着は外さないだろう馬たちに騎乗するのは、ここ数年の傾向としてルメールやいまや日本の騎手のトップに昇りつめた川田やレジェンド武豊だろうが、そこに今勢いや渋みの実力のある騎手の騎乗馬を絡めると、割とイージーにロングショットが得られるという事実に気づいたのだ。
例えば関東なら恐れを知らぬ体当たりで騎乗する野中悠太郎、もはや熟年騎手となって騎乗馬が減ってはいるが田中勝春、新潟直線1000mなら西田など。
関西なら若手では西村淳也や中谷雄太、実力派なら幸や秋山、酒井学ら。
オールマイティではないが人気薄でもここ1発を決め打つ覚悟を持った騎手たちを大事に観察しておいて損はないということだ。
さてさてスプリンターズS。
土曜の深夜からこのスプリンターズSをずっと考えていたが、GCの最終追い切りを再度見届けても、今回は川田ダノンスマッシュ、ルメール・タワーオブロンドン、前半32秒台の脚で6Fを駆け抜ける松若モズスーパーフレアの牙城は厚いという結論は揺らがなかった。差す馬が勝つというイメージも揺らがなかった。とすれば、タワーオブロンドンかダノンスマッシュかどちらを軸にするかということだけだった。軸が決まったら、そこに去年の夏からお世話になった森田厩舎の2頭の牝馬ラブカンプーとダイメイプリンセスと前走で変身した姿を示したファンタジストを追加の趣味で絡めてみようと決めていた。
前半3F32秒台のペースで松若モズスーパーフレアが逃走をはかったなら、6F戦と言えど、いや6F戦だからこそ、隊列は乱れることなく決まって、後は直線の坂の攻防で勝負は決着すると判断した。それならば1枠2番の川田ダノンスマッシュの方がより有利ではないかと。私の軸馬は、ダノンスマッシュにした。
しかし・・・。
現実のレースの流れは、そうはならなかったのである。勿論、松若モズスーパーフレアはそれが役割であるように前半32秒7のハイペースで逃げた。しかしハイペースにひるまず、数頭の馬たちが600m地点辺りまでせめぎ合うように前に行ったのである。
好位を保とうとした川田ダノンスマッシュは中団後方のインのポジションまで下がらざるを得なかった。
その直後の外にルメール・タワーオブロンドンがいた。
4コーナー。そのままでは前を行く馬たちを捌けないと見た川田ダノンスマッシュは外に出ようとした。ルメールはスムーズにアウトコースからコーナーを廻った。
4コーナーを廻って、さらに不運なことに川田ダノンスマッシュは、タワーオブロンドンの外側にまでクロスして出なければ進路が確保できなかったのだ。大きなロスとなった。
4コーナーの攻防が、今日のスプリンターズSの勝負の決着地点となった。
松若風馬のしなるムチを受けてモズスーパーフレアはインから粘ろうとする。自ら作った消耗戦に耐えようとする。
坂を上りつめてルメール・タワーオブロンドンがいっきの差し脚を見せつけて伸びる。3馬身半後方からまだ勝負を諦めずダノンスマッシュが追いすがる。
1着でゴールしたのはタワーオブロンドンだった。半馬身差の2着はモズスーパーフレア、そこから首差でダノンスマッシュが3着。
敢えて言い添えるなら、不運な4コーナーでのタワーオブロンドンとの距離差を、ダノンスマッシュは大きく詰め寄ってはいたのである。
栄光には届かなかったが、ダノンスマッシュの強さと潜在能力は発揮されたと判断できるのではないか。この3着で、もし失われたものがあるとすれば、ダノンスマッシュの1着を信じた競馬ファンの競馬購入資金だけである。わたしもまた10Rの的中資金を半分ほど失った・・・。
レースの流れがもたらす勝負の機微が、スプリンターズSの決着に大きく作用した。しかし、それもまた競馬である。
ダノンスマッシュは競走馬としてのプライドは保ち抜いたのだと、それが2019秋スプリンターズSの実相だったのだと、私は記憶にとどめることにしよう・・・。残念だったが・・・致し方ない・・・。
コメント
コメントを投稿