いや別に昏睡状態に見舞われて意識を失っていたと言うようなことではないのだが、私には珍しく、眼の前のあらゆることにポジティブな関心を見失って、3歩どころか5歩も7歩も引いてしまって、まあどうでもいいかと受け身になっていたのだ。
ずっとほのかな弱々しい月明りだけを頼りにして、唯独りで、白く煙がかった薄靄の細い山道を行くあてもなく歩いていた気分。冷え冷えとした道だった。熱くなれなかったのだ。熱が、そう脳内に沸き起こる熱量が、僅か半歩でも前に進む原動力となるはずなのに、この1ヶ月の間、私の体内温度は少しも上がらなかった。
これが鬱なのかと考えてもみたが、仄暗い煙がかった月夜の山道の彷徨いの中でも、これまで過ぎて来た自分自身への自己肯定だけは忘れなかったので、どうやらそうではないらしかった。
で、1ヶ月が過ぎてしまって、今日からは浦島太郎状態で社会復帰(?)。
よくよく振り返ってみると、どうやら机用の椅子の高さ調整が狂っていたらしいことが判明した。原稿やメモやノートを散らばしてもいいように、ずっと幅160㎝の机を使っているのだが、いざ机を前にするといつの間にか左右の肘を机に乗せてもたれかかる動作が癖になっていたようだ。どういう訳か椅子の高さが微妙に変化していて、机に肘を載せて持たれると肘から肩に無理が生じて、特に右肘から右肩にかけてモヤモヤするような痛みが生まれていたらしい。
激しい痛みならすぐに対処もできるのだが、モヤモヤとした痛みの違和感は、ときとして気づかない場合もある。明日になれば治ってしまっているのではないかと自己再生力を信じがちだからだ。
気温が夏日に近くまで上がった昨日、たまたまの偶然で、手元にあった湿布薬を右の二の腕に貼ってみたら、スーッと右肩の違和感が消えて、快適になった次第。そうか、このモヤモヤ感がこの1ヶ月のやる気の停滞を招いていたのだと改めて知らされたのである。ついでに椅子の高さも慎重に調整した。
それにしても人の身体は統一的なバランスによって支えられているものだ。普段は意識してなくてもバランスを崩していると、肉体だけではなく心までもがおかしくなってしまうのだから。そのことを痛切に感じいることになった。
でも、良かった良かった・・・。1ヶ月で気づいて・・・。まあ、長い人生、こんなときもある。
コメント
コメントを投稿