突然「ナメロウ」が食べたくなりました。
そこで、あるかないか判らなかったのですが、山から降りてスーパーマーケットへ。
町からいつやらから鮮魚店がほぼ消えて、「ハイ、いらっしゃいーッ!奥さん、安いよ、今日の新鮮捕れたてだよ」なんていう魚屋のアンちゃんの威勢のいい掛け声も聞かなくなりました。シーンとした街並みより、元気良くざわめく庶民の生活のある町が、私は好きです。が、スーパーには、なかなかそれを感じられません。ただ包装パックを、カートに放り込んで行くだけですから。
千葉産のイワシが氷の箱に入って並べられていました。今日の特売目玉らしい。目玉が生き生きとして、体は光っています。ならば、今日は、イワシで「ナメロウ」作りに挑戦だ!!
帰宅して、まな板をと小型の出刃包丁を用意して、料理の実践が始まりました。
イワシの頭を、首から包丁で切り、そのまま内臓を掻きだしてしまいます。これを繰り返して、5匹分。
いや、こんな料理法は私の我流ですので、経験値の高い方は、ご自分の方法でどうぞ。
次に、尻尾の辺りに包丁を入れ、背骨に沿って切れ目を入れるようにして、所謂3枚下ろしにします。使うのは身の部分だけです。腹の部分に骨などが付いていたら、包丁を這わせるようにして切り取ってしまえば良いんです。
で、5匹10枚揃ったら、皮を剥きます。新鮮なイワシなら簡単に剥けます。ここまでが第1段階。そう、まな板の周りのどこかに古新聞を広げて、そこに取った頭や内臓などをまとめて、最後に包んで始末すると、汚れを嫌う恐い奥さんたちからも叱られません。
次に、まな板の上で適量(好みで良いんです)のネギのみじん切りと、オロシ生姜と、これも好みの味噌を用意します。
そして、イワシを、「ちゃんこ」で鳥のつみれを作ったように細かく切っていきます。
細かく切れたら、私はここで軽く塩を振ります。その方がおいしいと感じたからです。
そうしておいて、イワシとネギのみじん切りと味噌とオロシ生姜を、まな板の上で包丁で掬うように混ぜ合わせていきます。軽くたたくようにすると、さらに細かくなって混じり合います。
これでもうほとんど出来上がりですが、私はここで、ちょっとした隠し味で、溜まり醤油をひと匙加えるんです。これもその方がおいしいと感じたのが理由です。溜まり醤油がなかったら、普通の醤油でも良いでしょう。なんなら刺身醤油でも。
後は、皿に盛って食べるだけです。
たくさん作り過ぎたと思ったら、冷蔵庫で保管して、ご飯のしゃもじやかまぼこ板の上に広げて乗せて、グリルで軽く焼けば、おいしい「さんが焼き」に変身します。味噌やだし汁の中に丸めて煮込めば、イワシの団子汁です。
温かいご飯やお酒の友が、さ程お金をかけずに出来上がるのです。ああ、イワシに感謝!!です。
以前に東京・大塚の魚屋で、「今日のお勧めの魚は?」と聞いたことがあります。
この魚屋は、店舗は小さいのですが、近隣の料理屋寿司屋レストランに魚を卸すために、連日魚河岸に行き、旬の魚や、その日の目玉となる魚を仕入れに行っているのです。それをできるだけ安くして提供しているんです。
だからこそでしょう。店主の大将は、「お客さん、魚はねぇ、どれも全部旨いんだよ」と答えました。
自分の眼を信じて、連日河岸に行っていい魚を仕入れている自信が、そう言わせたのでしょう。でも、その答えこそが、魚を敬う心持ちだと、そのとき私は教えられました。
さてさて、事の成り行きで、イワシの「ナメロウ」もご紹介してしまいました。
それでは、また、サヨナラ、サヨナラ、サヨナラ・・・。
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