先日、桂文生師匠自身から、池袋演芸場での第2回独演会の案内を頂いていた。
競馬場でお会いするいつものメンバーには、メールを送り、当日の参加を呼び掛けて、私なりにお役に立とうと考えて、そのようにした。
昨日2月21日が独演会の日だったのだ。夕方に池袋に向かった。6時半開演。独演会と名が打たれてはいるが、メインキャストを文生師匠にして真打弟子文雀と扇生がわきを固める桂文生一門会のようなので、開場時刻から観客は集まり、私が到着したときにはすでに開場は9割以上が埋まっていた。盛況だ。
開口一番の前座芸の後、文雀の「堪忍袋」そして文生の「民謡アパート」
仲入りの後、扇生の「長命」と再度文生の「市助酒」。
文雀も扇生も、力量はあるので噺には安定感があって笑わせてくれる。いつか機会があったら映画かTVの時代劇にでも出演して、ほんの少しだけ役者修行を果たして役者の呼吸をものにすれば、おそらく今以上の色気が漂う噺家になると思うのだが・・・。
色気漂う噺家なんて、私は憧れるなあ・・・。
文生師匠は、古今亭今輔や柳家小さんの大先輩に前座の頃から酒が強いことで可愛がられて育った噺家で、酒のついでに民謡まで習い覚えてものにしている。「民謡アパート」など、民謡の旋律で替え歌を謡いまくる噺なので、今や文生師匠しかできない噺だろう。粋な味があって楽しめた。
それにその昔、どれだけ酒を飲んでも粗相なく口座を務められるか個人的に実験をしたと豪語するくらい酒を愛する噺家でもあるので、酒の話もまた十八番中の十八番だ。実験では、1升3合までは大丈夫だったという。
まあ一杯と勧められたら、文生師匠の体は底なし沼に変るほどなのだから。いやいや凄まじい。だから江戸の飲んだくれを演じたら、おそらくこの人を出し抜ける噺家などはいないかも知れない。
桂文生。この8月で弱い80歳を迎えるが、まだまだ元気いっぱい。春日町の師匠であり、本人に言わせれば春日町収容所の所長と弟子までも笑わせる男気を誇っている。ちょっと眼が離せない本物の輝きと色気とフラのある噺家である。
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